第8回 〜LEDの賢い選び方〜

第8回 〜LEDの賢い選び方〜


LEDはエネルギー効率が高く、長寿命なため、現代の照明市場でますます重要な位置を占めています。
しかし、数多くのLEDが市場に出回っており、どれを選べば最適なのか迷ってしまう方も多いでしょう。
そこで今回は、LEDを選ぶためのポイントと、エコロジカルな照明選びのメリットについて解説します。

LEDのメリット

LEDのメリットは、省エネ性やエネルギー効率の向上だけでなく、その他の特長も含まれます。
たとえば、LEDは低発熱性があり、火災のリスクを低減します。
また、無駄な光の散乱を抑えることで、周辺環境への光害を軽減する効果もあります。

LEDの選択には、初期投資と長期的な利益のバランスも考慮しましょう。
LEDは初期コストが高い場合がありますが、その分を省エネ性や長寿命によるランニングコストの削減で補うことができます。
経済的な面だけでなく、環境への貢献や快適な照明環境を享受することも重要なポイントです。

LEDの賢い選び方

最適なLEDの選び方は、明るさ、色温度、省エネ性、寿命、デザイン、機能性などを考慮することです。
適切な照明ニーズや使用環境に合わせて適切なLEDを選びましょう。
これにより、快適な照明環境を実現し、同時にエネルギー効率の向上や環境への貢献を実現することができます。

また、信頼性や品質にも注意を払いましょう。
信頼できるメーカーからの製品選択や評判の確認は重要です。
品質の高いLEDは、安定したパフォーマンスと長寿命を提供し、投資の長期的な利益をもたらします。

賢い選び方のポイント

【明るさの適切な選択】

LEDは、効率的で長寿命な照明オプションとして広く普及しています。
しかし、適切なLEDを選ぶ際には、明るさが重要な要素です。
明るさは一般的に照度(ルーメン [ lm ] )【*】で表されますが、ルーメン値が高いほどより明るい光を放ちます。
使用目的に応じて適切な明るさを選ぶことが重要なので、照明の目的と場所に応じて、必要なルーメン値を考慮しましょう。

【*】照度(ルーメン [ lm ] ):光源から放射されるエネルギーのうち、人間の眼に光と感じる量のこと。

【色温度の選択】

LEDの選択は、明るさだけでなく、色温度にも注意を払う必要があります。
色温度は、光の色の暖かさや寒さを表す指標であり、照明の雰囲気に大きな影響を与えます。

色温度は、照明による空間の雰囲気を作り出す重要な要素です。
ケルビン(K)という数値で表されます。暖色系(2700ケルビン〜3000ケルビン)は、柔らかく落ち着いた雰囲気を醸し出し、くつろぎの空間に適しています。
対照的に、このケルビンの数値が高いと、青白い昼白色系(5000K-6500K)に近くなり、作業や集中を必要とする場所に適しています。
そのためオフィスや学校では、明るく鮮明な昼白色系の光がよく使われています。 

色温度は、視覚の快適さにも影響を与えます。
個々の活動や環境に応じて、最適な色温度を選ぶことで、視覚の疲労を軽減し、集中力を高めることができます。
たとえば、読書や作業には太陽光に近くて目に優しい光が適しており、目の負担を軽減します。

また、特定の色温度の光は物体の色彩を引き立てたり、見た物体の色の見え方を変化させたりすることがあります。
たとえば、暖色系の照明は、木材や肌などの温かみのある色を際立たせます。
居室や寝室では、温かみのある光がリラックスできる雰囲気を作り出します。

【デザイン】

照明は室内空間の一部となるため、デザインの適合性は重要です。
LEDは多様な形状やデザインがあり、インテリアや照明設計に合わせて選ぶことができます。
インテリアのスタイルやテーマに合わせて、照明のデザインを選びましょう。
モダンな空間にはシンプルで洗練されたデザインが適しており、クラシックな雰囲気には装飾的な要素がある照明が相応しいでしょう。
照明は室内の雰囲気やスタイルに大きな影響を与えるため、LEDの賢い選択にはデザインを考慮することが欠かせません。

【機能性】

照明の機能は使用目的によって選びましょう。
たとえば、可動式の照明は、特定の場所に光を集中させたり、照射角度を調整したりするのに便利です。
また、センサー付きの照明は、人の存在を検知して自動的に点灯するなど、利便性を高めます。

最近のLEDには、スマート機能が組み込まれている種類も増えています。
スマートホームシステムとの連携や音声制御など、便利な機能を備えたLEDは、生活の利便性を向上させます。

【調光機能の有無】

LEDを選ぶ際に重要なポイントの一つは、調光機能の有無です。
調光可能なLEDは、明るさを調節できるため、照明の柔軟性と利便性を向上させます。

調光機能を備えたLEDは、明るさを調節できるため、照明環境の柔軟性を高めます。
調光可能なLEDを選ぶことで、好みや特定の環境に合わせて明るさを調整できます。

【省エネ性とエネルギー効率】

LEDは従来の照明器具に比べて非常に省エネであり、少ない電力で明るい光を実現します。
エネルギー効率の高い製品を選ぶことで、電力消費の削減と節約につながります。

【信頼性と品質を重視する】

良質なブランドや製造業者からLEDを選ぶと安心です。
信頼性の高いブランドは、品質管理や製品保証に力を入れており、長期間の使用に耐えるLEDを提供しています。
信頼性と品質の高いLEDを選ぶことは、長期的な利益と安心感をもたらします。

【長寿命と信頼性】

長寿命【*】で信頼性が高いほど優れた品質のLEDと言えます。
長寿命のLEDは、より長い期間にわたって照明を提供し、交換やメンテナンスの頻度を減らすことができます。
信頼性の高いブランドや製造業者からの選択は、品質管理や製品保証に力を入れていることを意味します。

【安全性と規格適合性】

品質の高いLEDは、安全基準や規格に適合していることが保証されています。
安全基準に適合したLEDは、過熱や漏電などのリスクを最小限に抑えるため、安心して使用することができます。
信頼性の高い製品を選ぶことで、家庭や職場での安全性を確保することができます。

【*】寿命:照明器具製造業者が規定する条件で点灯したとき、LEDモジュールが点灯しなくなるまでの総点灯時間、または全光束が点灯初期に計測した値の70%に下がるまでの総点灯時間のいずれか短い時間を推定したもの。

【LEDを使う環境と用途】

賢いLEDの選び方には、使う環境とその用途を考慮することが非常に重要です。
LEDはさまざまな環境や用途に合わせて設計されており、最適な効果を得るためには適切なLEDを選ぶ必要があります。
以下では、使う環境と用途を考慮するポイントを紹介します。

【屋内または屋外】

最初に考慮すべきは、LEDを使用する環境です。
特定の環境や用途には、特殊な機能が求められることもあります。
屋内照明と屋外照明では異なる要件があります。
屋内では、室内の明るさや雰囲気に合ったLEDを選ぶことが重要です。
一方、屋外では耐候性や防水性が求められます。
そのため、使う環境や用途に合わせて、必要な機能を選択する必要が出てきます。

【用途に合った明るさ】

用途によって必要な明るさは異なります。
たとえば、仕事をするオフィスや勉強する学校、工場の作業環境などでは明るく均一な光が求められますが、装飾目的の照明では柔らかい光や特定のエフェクトが望まれることもあります。
使用する場所や目的に応じて、明るさを適切に選びましょう。

【デザインと統合性】

照明は室内や建物のデザインにも影響を与えます。
特に居住空間や商業施設では、照明がインテリアと調和することが重要です。
LEDのデザインや形状、取り付け方法を考慮し、環境との統合性を確認しましょう。
シンプルでスタイリッシュなLED照明は、多くの場所で美しいアクセントとなります。

まとめ

LEDの賢い選び方には、明るさ、色温度、調光・調色機能、信頼性と品質、デザインや機能、エネルギー効率性などの要素を考慮する必要があります。
これらの要素をバランス良く選ぶことで、快適な照明環境を実現し、電力消費の削減や経済的な利益、環境への貢献を実現できます。

信頼性と品質の高いLEDを選び、デザインや機能にもこだわり、エネルギー効率性を重視することで、より持続可能な照明ソリューションを選択することが重要です。
最終的な選択は、自宅やオフィスのニーズや好みに合わせて行い、照明の効果的な活用を楽しみましょう。




執筆:BARREL編集部
監修:大江由起(滋賀県立大学 人間文化学部 生活デザイン学科 講師)
滋賀県立大学・人間文化学部(生活デザイン学科)講師。建築環境/光環境/照明環境/色彩環境を専門とする。日本建築学会/照明学会。奈良女子大学大学院 人間文化研究科博士後期課程修了後、シャープにて技術企画業務に従事。東京理科大学 理工学部 助教、大阪城南女子短期大学 非常勤講師を経て現職に至る。